ARICA Qualityの雑記帳

人材育成支援、コールセンター業務支援を生業とする個人事業主の日々思うこと、感じることを気の向くままに記録しているblogです。

【片側顔面痙攣闘病記⑬】退院から抜鉤まで

 退院後も、嗄声(声のかすれ)、飲み込みにくさは解消されませんでした。食事は柔らかめの物をゆっくり慎重に飲み込むようにしていました。それでも時々、液体は鼻から戻ってきてしまったりといったこともあり、先々よくなるのかとても不安でした。

 声については、少しずつよくなっているのか、ちゃんと出る瞬間も増えてきました。無駄に色々と声を出してみたり、発声練習をしてみたり。心配する母も毎日電話をくれて声の様子を確認したり。しかし、迫りつつある仕事に向けてはちゃんと声が出る目途は立たず、とにかく「どうしよう」という不安を抱えて療養に努めました。

 抜鉤(傷は糸ではなく医療ホチキスで処理されていた)のため、従来通っていた病院の予約の電話をしました。かすれ声ながらなんとかその旨を伝えるも、予約は既にいっぱいで、当日直接行くしかない、ということでした。

 退院から数日はのんびりと慎重に過ごし、手術から9日目に通院。声は、手術直後よりは少しずつ回復傾向にありましたが、ひどいかすれ声。飲み込みにくさも徐々に軽減していましたが、まだ乾燥したもの(パンとか)は、なかなか今まで通りには飲み込めないといった状況です。

 傷痕は順調に回復。抜鉤しても特に痛みや気になることもなく、安心しました。傷周辺を触っても金属の感覚がなくなっただけ、という感じです。手術後にはあまり詳しいお話を聞けなかったのでこの日に伺い、写真や動画を見せてもらいました。本当に太い血管と顔面神経が触れていました。

 そして最も大事な声の話。「あと2週間で元通りにしたい!」と訴えたところ、薬を処方してもらい、さらに耳鼻科の専門医の診療日に再度診療予約を入れてもらいました。その時にまだ改善しないようであれば、そのまま耳鼻科にまわしてもらうことになりました。とにかくきちんと薬を飲み、あとは回復を祈るしかありませんでした。さてどうなることやら…。

 

 なお、術後は当然ながら痙攣は一切なく、とても快適です。ただ、最後に打ったボトックスの効果がまだあるため、顔面は少々いびつな動きをしています。

【片側顔面痙攣闘病記⑫】手術から5日目・退院

 いよいよ退院の日。ぎりぎりまで点滴がありましたが、身の回りの荷物を着々と片付けました。残っていた薬もいったん回収され、新たに処方してもらいました。

 なんと、先生とは会うことができず(どうも私がトイレでも行っている間にいらした様子)、看護師さんから伝言と画像データなどを渡されました。「今週抜糸に来てください、とのことです」と、元々通っていた病院のいつもの曜日(先生の外来診療日)に行くことに。画像データは、元の病院と入院した病院のCD-ROMがそれぞれ一枚ずつ。先生がご自分宛てに書かれた封書とともに。入院する時にはおそらく先生が持って来られたようですが、今度は私が持っていくのね、そういうしくみなのねと、妙に納得しました。

 お世話になった病棟の看護師さんに挨拶をし、精算です。事前に高額医療費関連の手続きをしていたので支払はびっくりするような金額ではありませんでした。が、保険適用前の金額にはびっくり。100万円近くの金額…。限度額の申請をしていなければ、30万円強を払うことになっていたかと思うと、ありがたい制度だと心から思いました。

 診療明細書は3枚あり、こと細やか記載されていました。全身麻酔の時間まで記載されていて、2種類のうち1つは「208分」とありました。実際の手術時間は聞いていなかったのですが、予定では早くて2時間ぐらいと聞いていたので結構かかったことがわかります。術後に目覚めたときには「太い血管が深く神経に触っていた」とは言われていたので、時間も予定よりかかった様子。

 保険会社の診断書の発行をお願いし、病院を後にしました。約一週間ぶりの外の空気。荷物もあるし、体力も少し弱っているので最寄り駅まではタクシーに乗りました。電車とバスを乗り継ぎ、久しぶりの我が家へ。道中、意外に思ったよりも「弱っている」と実感しました。途中、お昼ご飯を買おうと駅構内のパン屋へ行きました。弱っているけれど、飲み込みにくいだけでなんでも食べてよいのだと思うと、もともと食いしん坊な私はなんだか色々と買ってしまいました。目がほしがる…。ついついいろんなものを買ってしまいました。

 

 久しぶりの我が家は、やはり落ち着きます。数年間悩まされた痙攣がすっかりなくなり、もはや「痙攣なんてしていたかしら?」というぐらい、元通りで快適です。傷口が痛むこともほとんどありまsん。ただ、声と飲み込みにくさはまだまだで、3週間後に控えた仕事(90分話す)への不安が残ります。ありますが、まずはしばらくは静養し体力回復を目指します。

【片側顔面痙攣闘病記⑪】手術から4日目・退院予定だったけれど…

 手術から4日目、入院5日目。当初から、「最短の5日で退院する!」と医師に宣言していたその日がやってきました。前日まで週末ということもあって、そんな話も全くできず「本当に退院できるのか?」と半信半疑でした。声も出ないし、飲み込みにくいし…。

 朝、先生が来てくれて状況を報告しました。「帰れそうなら帰っていいよ」と言われましたが、外は雨が降っているうえに肌寒い様子で、入院時の装備(服装)ではあまりにも寒そうなので「明日でもいいですか?」と尋ね、翌日の退院となりました。

 すると、点滴の種類が増えました。ST(言語聴覚士)も来てくれて、首(喉の辺り)をマッサージしてもらいました。まあ、すぐによくなることは期待していないけれど…。

 

 飲み込みにくいという症状は少しずつ改善傾向に。食事も栄養士さんが様子や要望を聞いてくれ、替えてもらいました。まだ普通食をもりもり、とはいかないけれど、食事に関してはかなり回復したように感じました。ただ、水分を飲み込む時は緊張することもしばしば。うっかりすると鼻から出てきてしまうことも。。。

 声は当初よりも出るけれど、まだまだ。ほぼかすれ声。発声時の息が長続きしないという状況でした。3週間後の仕事(90分話す研修?講演?)が気がかりですが、何もできることはなく、ただ祈るばかり。

 

 ずっと続いている点滴。術後、一度針を刺す場所を替えたのですが、またもや逆流してしまい、再び刺しなおしとなりました。今回やってくれた看護師さんは、ちょっと下手でした。前の看護師さんがよさそうな血管を見つけたのだけれと、「これはどこに行ってるんだろう」としっかり確認した結果刺さなかった所を見事に刺し、薬が入っていかずにただ痛みと出血が多かっただけで失敗、という結末に。なんだか固いもので上から押さえられ止血するという初めての経験をしました。3回目か4回目ぐらいでようやく成功ということになりましたが、左右の腕は内出血だらけになりました。。。

 

 そうそう、肝心の術後の頭や痙攣のこと。頭痛薬を飲んでいるせいか、頭痛はほとんどありません。傷跡も触るとホチキスかかさぶたか、ボコボコしていますが痛みもありません。傷跡周辺の感覚はなくなるとは聞いていたので、それほど気にならず(数年前の開腹手術で経験済み)。もちろん痙攣も全くなく、本当にこの数年のストレスは何だったのだろうというくらい。もっと早く手術すればよかったと思いました。

 入院生活もあと1日。それほど散らかしていないけれど、少しずつ身の回りを片付け始めました。

【片側顔面痙攣闘病記⑩】手術から3日目

 3日目になっても、点滴は終日続きます。飲み込みにくさや声が出ない、時々出てもかすれるという症状の薬もあると思います。右手の甲に刺さっている点滴の針。利き手なので右手をよく動かすのですが、例えばトイレにスタンドを押して行く場合など、うっかりすると逆流してきてしまいます。看護師さんに「手は下に降ろして~」と言われるのですが、つい忘れてしまい…。結局、針を刺しなおすことになりました。が、やはりなかなか適当な血管がないらしく、看護師さんを相当困らせてしまいました。でも上手な方だったようで、失敗はほぼなく、今度は左手の手首の辺りに。10歳で盲腸の手術をした時の点滴の痣の近くだったので、「やっぱりそこなんだ」と妙に納得しました。

 飲み込みにくさは少しずつ改善されたように感じました。それとも慣れたのか…。時々気を抜くと、飲んだ水分が鼻から出てきてしまいます。そのせいか、あまり水分をとりたくなくなってしまったり…。食事もコツをつかめてきたせいもあって、少し固形物も入れてもらったりしました。栄養士さんが様子を聞きに来てくれたのは、ありがたいなーと思いました。

 そして、問題の声。まだ、ほぼ出ない状況です。本業は声を使う仕事です。翌月初旬に1件90分話すという仕事が入っていて、まずはそこに間に合うかが最大の懸念です。約3週間あるので、なんとか間に合ってほしいと願うばかり。

 

 この日は、意外にもシャワーの許可がおりました。翌日の入院5日目で最短で退院したかったので、ちょうどよかったです。傷口は「そうっと撫でるように」と言われた以上に慎重に。

 さて、明日本当に退院できるのでしょうか?

「応対品質と生産性は相反する」のか?

 コールセンターの「応対品質の向上」と「生産性(効率)」は相反する、とよく言われます。良い応対をすると「会話が長くなる」ことが要因とされています。果たして本当にそうでしょうか。実際に応対品質調査の報告会で、ベスト音声を紹介した際、「丁寧で通話時間が長いからベスト音声なのか?」という質問を受けたことがあります。もちろん、決してそうではありません。

 ところが、生産性を重視するあまり、お客様の満足を二の次にしてしまうことは残念ながらよく見られることです。「不満ではない=満足」ではないにも関わらず、「不満ではない=苦情を言われない」ことをよしとして、生産性向上を追求してしまうのです。

 

 本来、「良い応対品質」とは、お客様にとって“最短”で、かつお客様が満足する応対です。ですから、応対品質の良し悪しを測る「モニタリング評価」の項目では、効率的であるか(最短か)どうかも確認します。例えば、「説明が簡潔であるか」「同じ話を繰り返していないか」「お客様から聞き返されるような伝え方をしていないか」「何度も保留にしていないか」といったポイントです。お客様の貴重な時間をいただいているのですから、顧客満足度の観点からも、“最短”で対応することが応対品質の向上には不可欠です。

 

 “最短”の時間は、お客様やお問合せ内容によって異なります。それを一括りにして平均通話時間を目安にするようなマネジメントは、かえって応対品質の低下につながります。以前、生産性向上に取り組んだセンターが、「言うべきことを言わない」対策に取り組んで目標を達成していましたが、それでは本末転倒です。

 また、電話が多くお客様が待っている状態の時(待ち呼/積滞あり)には、早口の対応になったり、説明を省略したりしてしまう人がいますが、それも聞き返されたり再入電につながったり、却って生産性や満足度の低下を招きます。

 

 「では、どうするか」ですが、対策は➀応対者の教育、②応対フローの見直し、③システム面の確認など、色々あります。

 

 ➀応対者の教育:説明スキル、傾聴(ヒアリング)スキル、察知力などの向上

 ②応対フローの見直し:より伝わりやすい構成に改訂・オペレーションフローに問題

            がないかの確認と改訂

 ③システム面の確認:検索等に時間がかかりすぎる点はないか・画面遷移等の操作フ

           ロー、動きは最適か

 

 そのほかにも、効率を含んだ応対品質の向上の観点から見直すべき点があるかもしれません。センターの運営上、一定の「生産性管理・効率化」は必要ですが、お客様の視点で「生産性」を考えれば、「応対品質」と「生産性」は相反するものではなくなります。

【片側顔面痙攣闘病記⑨】手術翌日

 何度も目が覚めて、「まだ1時間しか経ってないの?」を繰り返した長い夜も終わり、手術翌朝。体温や血圧などの朝のルーティンを終えると、ようやく飲水の許可が出て、看護師さんに飲ませてもらいました。喉の調子がおかしく、声がほとんど出ないことに気が付きましたが、手術の後だからとこの時は思っていました。そのほかは、特に具合の悪いところはなし。点滴の針は、右手の甲に移動していました。頭痛も特になし。ただ、体全体がだるーい感じのみでした。

 

 先生が来てくださり、目をぎゅっと瞑ったり、口を横にイーっとしてみたりして、痙攣が全くないことを改めて確認。ただ、前月に打ったボトックスの効果がまだ残っているので、一部動かない筋肉もありました。これは、ボトックスの効果が薄れるのを待つのみ。

 CTを撮って、病室に戻れることになりました。お昼から食事が出るということで、普通食にするかどうするかを聞かれました。特に目立った不調は感じていなかったので、食いしん坊の私は迷わず普通食をお願いしました。

 手術モードだった身体の諸々が正常に戻り、無事に病室へ戻りました。点滴は色々と継続。トイレに行くのも、点滴のスタンドを自分で引いて歩いて行きました。それでも特に具合が悪いことはなかったのですが…。

 昼食が出て、「やったー久しぶりのご飯!」と思って食べてみると・・・。なんだかうまく飲み込めず、「あれ?」と思いながらも味噌汁を飲んだら、なんと鼻から戻ってきてしまい、それにびっくりしてその前に口に入れたものを戻してしまいました。どうしてよいかわからず、思わずナースコールを押したものの、声も出ず、ちょっとしたパニックに。すぐに看護師さんが来て、キレイにしてくださいました。が、精神的なショックと戻した気持ち悪さで食事は終了。夕食からは、飲み込みやすい食事に替えてもらいました。

 夕食はほぼ流動食でしたが、自分で思っている以上に弱っているのか大した量もないのに完食はできませんでした。

 

 水を飲んでも飲み込みにくく、鼻から出そうになったり(出たり)むせたり、いわゆる“誤嚥”というやつです。声が出ない(かすれる・嗄声)、飲み込みにくくなるかも、というのは術前に説明を受けていましたが、術後すぐだから、とそれほど深刻に受け止めておらず数日で治るだろうと思っていました。最短で5日で退院できると言われていたので、まだこの時はそのつもりでいました。

 

 この日は、傷口の消毒もしてもらいました。髪の毛は全く剃らずに手術をしたせいかどうかはわかりませんがガーゼがくっつかず、看護師さんも「もう、いいや」と術後翌日にしてガーゼなしの状態に。恐る恐る触ってみると、医療用ホチキス(?)らしき感触。食後に鎮痛剤を飲んでいることもあるせいか、痛みはほとんどなかったです。とはいえ、ベッドにいるとよく眠れるもので寝たり起きたりを繰り返して過ごしました。PCや本などを持ってきましたが、さすがに術後翌日はのんびり過ごしました。

【片側顔面痙攣闘病記⑧】手術当日

 いよいよ手術当日。朝、先生が「よく眠れた?」と様子を見に来てくださりご挨拶。午後2番目の手術ということで、それまで待機。朝から絶食、10時以降は飲水も不可で、代わりに水分補給のための点滴も始まりました。

 点滴の針は、手術から数日は刺しっぱなしになるので、適切な血管を探すのに看護師さんは苦労されていました。昔から、血管が細い、太い血管が見つかりにくいと言われ続けてきました。血液検査や注射の時には、いつも事前に申告していました(失敗されてしまうことが多かったので)。あちこち見てもらった結果、結果、麻酔科医からの指示とは違う側の腕にしか刺すことができず、「あとは麻酔が効いた後、麻酔科の先生に刺し替えてもらおう」ということになりました。というのも、指定された側の手の甲が適していそうだったのですが、そこに刺すにはかなり痛みを伴うらしく、意識を失った後に専門家にやってもらおう、ということになったのでした。

 

 前の手術が長引いているらしく予定の時間になっても呼ばれず、看護師さんも気にかけてくれました。予定から遅れること約1時間少々。ようやく手術室に呼ばれました。麻酔科医と少し会話し、麻酔が投与されました。点滴の針を刺したところが「あっ、すっごい冷たい!というか、痛い!!!」と思ったところで麻酔が効いたようです。一瞬でした。

 

 目が覚めた時には、HCUにいました。まだボーっとしていましたが、先生の話は聞こえ、理解できました。なんでも、太い血管が結構深く顔面神経に触れていたとか。先生に聞かれて気が付きました。頬の痙攣がピタリと止まっていたことを。そして、ずーっと頬にあった違和感も見事になくなっていました。発症したであろう時から、痙攣していなくても、ずっと右頬がつっているような、痺れているような、鈍い感覚。痙攣も消え、もう何年もあった感覚がなくなったことに、感動すら覚えました。そして、もっと早く手術すればよかったとも思いました。

 右側の耳の後ろ側には、ガーゼがあてられ、頭全体をゴムの帽子かヘアバンドのようなものでガードされていました。傷の痛みはそれほどありませんでした。ただ、呼吸が少し苦しかったです。私は少し過呼吸の気があるのか、前に全身麻酔と酸素マスクをした時も、「苦しい」と言って酸素マスクを外してもらったことが何度かあります(最初は10歳・盲腸の手術)。ちなみに全身麻酔による手術は、今回で4回目。お願いして、酸素マスクを外してもらいました。また、口の中が苦くて、でもまだ水も飲めなかったので、ティッシュをそばに置いてもらって何度も唾を吐きだしていました。

 術後は、前もそうだったけれと(前回は2014年に手術を経験)、何度も目が覚めて眠ったつもりでも1時間ぐらいしか経っておらず、なんだかとても夜が長く感じられました。