質問に答えないことがすれ違いの始まり
先日、出張の際に空港で体験したことです。
地方空港から別の地方へ行くため、羽田空港での乗り換えが必要でした。到着後、次の便に乗るためには相当の距離を歩いて移動しなくてはなりません。数年前は、こんな場合にバスに乗せてくれたことを想い出し、乗り継ぎカウンターを探していました。
すると「乗り継ぎの場合のバス移動」についてのお知らせらしきものが目に付きました。しかし、動く歩道に乗っていたのでよく見えず、かといって戻るにも行き過ぎてしまったので、バスがあることがわかればいいや、と思い、近くの乗り継ぎカウンターを探しました。
そこにいたのは、少々ベテランそうな一人の男性スタッフ。忙しそうに電話をしていて、私が近づいたことにも気がつく様子はありません。電話が終わった時に、「あの~」と声をかけようとしたところ、すぐさま次の電話をかけようとしていたので、結局「あ…」という声になってしまいました。が、そこで気がついてくれました。
私は携帯で情報を見せようとしながら、「この搭乗口はここからは遠いですよね?」と質問をしました。質問の仕方もあまりよいとは言えないのですが、「遠いでしょ?だから歩かずに行く方法を教えてほしい」という意図は普通に汲んでもらえる、と思っていました。
その方は「お客様、お乗り継ぎですか?」と質問されました。私の質問には答えずに。
聞かれたので私は「そうです」と答えました。すると、「ゲートを通りエレベーターで上へどうぞ」と案内され、親切にもエレベーターを呼んでくださいました。
で、私は上へ上がってしまったわけなのです。羽田空港をご存じの方はおわかりでしょう。上へ上がったドアの向こうは、もう後戻りできない出発フロアなのです。
百歩譲って、私が乗り継ぎのあるお客であることを何も言わずに「遠いですか」と聞いたので、確認のための質問であったなら、それでもいいのです。乗り継ぎ客だと確認できた時点で、「何番の搭乗口でしょうか」などと状況をもっとしっかり把握して対応してほしかったのです。
前日までの数日間を、この数年ないほどの慌ただしさで忙しく過ごし、睡眠不足と疲労が続いている中の朝一便で羽田空港まで来た私。前の便ではゆっくり眠っていたのでどこかまだぼぉーっとしていたのですが、この時点で目が覚めました。同時に“イラッ!”としました。
“乗り継ぎで上に来るのはわかってる!すごく遠そうだし、朝からへとへとで歩きたくなくて、何か方法がないかと思って聞いてるのに!質問聞いちゃいないっ!もぉーーーーー!!!”と。
上のフロアは人がほとんどいないのをいいことに、声に出してブツブツ文句を言ってしまいました。周囲に係の方の影すら見えないので、誰か人を探しながらとりあえず搭乗ゲートに向かうしかない、と歩き始めました。
しばらくすると、若い女性二人がニコニコ話しながら歩いて来るのが見えたので、つかつかと歩み寄りました。苛立っていたので、恐らく結構な勢いだったことでしょう。
「すみませーん。乗り継ぎで××番の搭乗ゲートに行きたいんですけど、すっごく遠いですよねぇ?昔バスかなんかに乗せてもらったの思い出したので、下で聞いたんですけど詳しいこと聞いてくれずに上に上げられちゃって。しょうがないからムカつきながら歩いてきたんですけどー!」と、表情は笑顔で口調も柔らかく、でも言葉はすこーし辛辣に訴えてみました。
それを聞いたとてもかわいらしいお嬢さん(私からすると)たちは、すぐに「申し訳ございません」と謝ってくださり電動カートを探してくると、一人の方は走って下さいました。
残ったお姉さんは、バスがあること、エレベーターで上ではなく下へ行くとバスに乗れること、を教えてくださいましたが、「遠いですか?って聞いたのにどこに行くかも確認せずに上に行け、と言われた!」と、またもや同じことを訴える私。
するとお姉さんの口から聞きたくなかった言葉が。「4月になって異動したばかりで、慣れてない部分もあるかもしれません」
「!!!(なぁにぃ?やっちまったなぁ?みたいなw)」と内心では、また新たな火が燃えさかろうとしていたのですが、朝からへとへとだったし、その日は大事な一日でそれ以上余計なパワーを注ぎ込むのも嫌だったし面倒になってきたのもあって、何も言いませんでした。
異動したばかりで慣れていない、っていうのはお客には関係ないのですよ、お姉さん。組織側の立場で考えるとそう言いたいのもわかるけれど、それをお客に言ってはダメ!言い訳にすらならない。
本当に可愛らしいお嬢さんで(これは個人的趣味)、その言葉以外は丁寧で親身な姿勢だっただけに、とてもがっかりしました。電動カートを探してくれたり、無線で確認してくれたりしたことは親切でありがたいと思ったけれど、それはお客に言ってはいけない言葉でした。
もしも最初の方が、私の質問にきちんと耳を傾けてくれていたら、私の聞きたいことをきちんと把握して下さったなら、このお姉さんに遭遇することもなく、もちろんお客として聞きたくなかった言葉を聞くこともなく、次の目的地へ気持ちよく向かうことができたでしょう。
全ては「質問に答えない」ことから始まった空港での出来事でした。
結局、朝の忙しい時間で電動カートは25分待ちとのことだったので、途中トイレや売店などに寄り道をしながら頑張って端の方から端の方まで歩きました。
と、こんなことがあったぐらいでは、この航空会社からは離れません。何故ならこちらの航空会社、昔お仕事をさせて頂いたことがあり、とってもお世話になったから。私を随分と成長させてくれたご恩があるから。厳密に言うと、ご恩があるのは当時の関係者の方々だけれど(笑)
でも、普通のお客さんはどうでしょう?そう大きな問題でもないけれど、もしもこういう小さなことが積み重なっていったら・・・。
教訓:相手の質問にはまず答える=相手の投げたボールをきちんと受け止めてから自分のボールを投げる、これがキャッチボール。