ARICA Qualityの雑記帳

人材育成支援、コールセンター業務支援を生業とする個人事業主の日々思うこと、感じることを気の向くままに記録しているblogです。

「応対品質と生産性は相反する」のか?

 コールセンターの「応対品質の向上」と「生産性(効率)」は相反する、とよく言われます。良い応対をすると「会話が長くなる」ことが要因とされています。果たして本当にそうでしょうか。実際に応対品質調査の報告会で、ベスト音声を紹介した際、「丁寧で通話時間が長いからベスト音声なのか?」という質問を受けたことがあります。もちろん、決してそうではありません。

 ところが、生産性を重視するあまり、お客様の満足を二の次にしてしまうことは残念ながらよく見られることです。「不満ではない=満足」ではないにも関わらず、「不満ではない=苦情を言われない」ことをよしとして、生産性向上を追求してしまうのです。

 

 本来、「良い応対品質」とは、お客様にとって“最短”で、かつお客様が満足する応対です。ですから、応対品質の良し悪しを測る「モニタリング評価」の項目では、効率的であるか(最短か)どうかも確認します。例えば、「説明が簡潔であるか」「同じ話を繰り返していないか」「お客様から聞き返されるような伝え方をしていないか」「何度も保留にしていないか」といったポイントです。お客様の貴重な時間をいただいているのですから、顧客満足度の観点からも、“最短”で対応することが応対品質の向上には不可欠です。

 

 “最短”の時間は、お客様やお問合せ内容によって異なります。それを一括りにして平均通話時間を目安にするようなマネジメントは、かえって応対品質の低下につながります。以前、生産性向上に取り組んだセンターが、「言うべきことを言わない」対策に取り組んで目標を達成していましたが、それでは本末転倒です。

 また、電話が多くお客様が待っている状態の時(待ち呼/積滞あり)には、早口の対応になったり、説明を省略したりしてしまう人がいますが、それも聞き返されたり再入電につながったり、却って生産性や満足度の低下を招きます。

 

 「では、どうするか」ですが、対策は➀応対者の教育、②応対フローの見直し、③システム面の確認など、色々あります。

 

 ➀応対者の教育:説明スキル、傾聴(ヒアリング)スキル、察知力などの向上

 ②応対フローの見直し:より伝わりやすい構成に改訂・オペレーションフローに問題

            がないかの確認と改訂

 ③システム面の確認:検索等に時間がかかりすぎる点はないか・画面遷移等の操作フ

           ロー、動きは最適か

 

 そのほかにも、効率を含んだ応対品質の向上の観点から見直すべき点があるかもしれません。センターの運営上、一定の「生産性管理・効率化」は必要ですが、お客様の視点で「生産性」を考えれば、「応対品質」と「生産性」は相反するものではなくなります。